ビルの区分所有化
最近、一棟ビルを区分所有化して活用する方が増えて来ています。
区分所有とは建物一棟で一つの建物とするのではなく、フロアー又は部屋毎に一つの建物として登記がなされ、それぞれが所有の対象となること。
ビルの区分所有化には多くのメリットがあります。
①不動産の小口化が行われること。
売る側から見れば売却がしやすく、買う側から見れば購入がしやすくなります。株式の分割と同じですね。ビル1棟の共有持ち分を購入したい人はまずいませんが(自分で自由に使用するのは難しい)、区分所有の1室なら購入する人は必ずいます。
②相続対策に有効。
相続対策は税金だけではなく、以下に資産を分けて相続人に渡すかという承継対策が重要。後々問題となる共有状態にせずに各相続人に個別に渡して行けます。
③相続発生時の納税資金確保に有効。
資金確保に必要な分だけ売却することが出来ます。
④資産のオフバランス化に有効。
会社資産として保有している場合、自社の事業に必要な分だけ残して、後は売却し資産のオフバランス化を図ることが出来ます。
⑤共有状態の解消に有効。
共有では建物に変更を加えたり建物全体を処分したりするには他の共有者全員の同意が必要。既に共有状態になっている建物であっても区分所有として部屋をそれぞれ単有とすれば少数の反対者がいても多数決で大規模改修工事を行ったり自分の区分所有部分のみを処分出来るようになります。
⑥ビル運営の手間から逃れることが出来る。
管理組合を組成し外部専門家管理者を選任することにより、ビル運営の手間から解放されます。運営については管理組合の総会を通じてコントロール。ビル運営の知識が無くとも、遠隔地に住んでいても、ビルの管理運営が滞りなく出来るようになります。
このようにビルの区分所有化には多くのメリットがあるのです。
しかし、区分所有と言うのは特殊な所有形態であることは間違いありません。ビルの区分所有化には注意・配慮を要するにポイントが多々あり、適切に対処しないと数年後に運営に行き詰まることも。
代表的な区分所有建物である分譲マンションは世の中に多くあり、実務経験のある方も多数おりますが、区分所有ビルの管理運営経験、ノウハウを持つ人は限られるのが現実です。
安心して区分所有ビルを保有出来るかどうかは、適正な管理運営体制が確保出来ているかどうかによるのです。
不適切な規約設定をして、数年後に運営に行き詰まったり、解消困難な課題を抱えてからでは遅いのです。