着服を防ぐには 2
前回は、管理会社(社員、管理員を含む)による着服は「しっかりとした管理会社に頼んでいるのならある意味・ある程度は安心です」と書きました。逆に言うと100%安心な訳ではありません。決算・会計書類は管理会社が作成するわけですし、これらが決算後に管理組合に提出されたとしても実務上、管理会社の社員、管理員の手の届く所にあり、事後的な改竄・廃棄が可能であるからです。要するに証拠が無くなってしまう可能性があるわけです。そして、 現場で現金の取り扱いがある場合も、証拠となるもの(金銭出納帳等)を、廃棄されたり、元々記帳すべきものを記帳しないことにより横領する手口では正確な横領・着服額がわからないことになります。普段からの管理会社業務の監督が重要です。また、前回は大規模マンションでの外部専門家による管理者就任による着服防止対策について述べましたが、比較的小規模で、十分に役員となっていただける方がいらっしゃらないマンションでも外部専門家の役員就任は有効です。外部居住者や高齢者が多く、役員が決まった方で固定化されてしまっているマンションは、結果的に役員同士の相互監視がしづらくなり不正を生む土壌が作られてしまいます。この場合、理事一名または監事を外部専門家とすることで、不正がないか監督することができますし、組合運営にプロの目でアドバイスしてもらえることになるので一石二鳥の効果があります。理事会は最低三名ですので、監事と合わせた合計四名のうち、一名がマンション外から選任するとなれぱ、役員を選出する負担も多少は減ることになります。